イヤホンガイド
三浦 広平(みうら こうへい)
メッセージ

「とりあえず、3回、見てみて下さい」
はじめて歌舞伎をご覧になるみなさんへ、こうお伝えするのには理由があります。

現在の歌舞伎のレパートリーは、およそ400とも言われます。

国や権力をめぐる大がかりなドラマ、時代物。庶民の暮らしの中に起こる喜怒哀楽のストーリー、世話物。様式美あふれる世界でド派手なヒーローが活躍する荒事の一幕もあれば、舞踊では色鮮やかな衣裳をまとった女方が、恋のときめきを、しっとりと描きます。

そういう先人から受け継がれてきた古典はもちろん、近年では人気マンガや、現代的な技術とのコラボレーションによる新作も、コンスタントに上演されています。400年前に誕生した芸能が、今も前進し続けている―それが歌舞伎です。

400の演目のどれが心に響くか、「また見たい」「もっと見たい」と感じるきっかけになるかは、本当に人それぞれです。しかし「最初はただ眺めているだけだったけど、2回目で見たあのお芝居が、とっても面白くてね」などのお声を耳にすることも少なくありません。そこで「とりあえず3回」と申し上げるようになりました。

はじめての方には、「カブキって分かりづらそう」という小石につまづかないよう、歌舞伎の魅力の入口までのナビゲーターとして。その先の「もっと知りたい」方には、より深くお楽しみ頂くためのアシスタントとして。どちらのお役にも立てるようなイヤホンガイドを心がけています。

お芝居の世界での思い出は、いつまでも色あせることのない、一生の友達のようなものです。3回から4回、5回…と楽しい思い出を積み重ねる、そのお手伝いをさせて下さい。

略歴
東京深川生まれ。立教大学文学部卒、日本大学芸術学研究科修了。
イヤホンガイド40周年記念オーディションに入選し、解説員に。
初解説は2016年8月国立劇場、稚魚の会・歌舞伎会合同公演「寿曾我対面」。


著作

『近代歌舞伎年表 名古屋篇』(八木書店 2007.03〜)

『歌舞伎俳優名跡便覧』(日本芸術文化振興会 2012.01)など
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