イヤホンガイド
酒井 孝子(さかい たかこ)
初解説

1980年2月 木蘭物語

私がカブキを初めて観た日
幼い時、毎夜必ず寝つくまで「おはなし」をせがんだので、母は多分ネタに困ったのでしょう、時々芝居の話が登場しました。
「富樫がのぞこうとするのを、弁慶がパッとかくすのよ」とか、
「通人のまたくぐりがおかしいので、助六がふるえながら笑いをたえているの」といった他愛のないものでしたが、私の頭の中に、「芝居の世界」が広がったようです。
母にだかれて初めて観た国太郎、翫右衛門らによる「水入り付の助六」は、あっ助六だ!と、いともスンナリと、しかも強烈な印象をうけたものです。
【当社発行パンフレット「耳で観る歌舞伎」1988.1より】
解説について

解説の内容は、多少、やさしいといわれてもなるべく若い人にわかるようにして、歌舞伎観客層をふやしたいと考えています。
「耳で観る歌舞伎」1980.11より

歌舞伎をあまり観る機会がなかったのは、若い方ばかりでなく、戦後の高度成長期に活躍された方にもいられるのではないでしょうか。
そこで私は、幅広い年代層を念頭において、
1、わかりやすい話言葉で
2、セリフにかからぬよう
3、踊りでは地方(じかた - 伴奏音楽)も聴いていただけるように、
と心掛けています。
演目によっては、すっと順調にできる場合と、一度引っかかってしまうと、後は苦しみ通し・・・。
ひとつのコメントはなるべく短く抑えるように努めてますが、そのため舌足らずになり、後からコメントをふやしたりして・・・のくり返しです。
「耳で観る歌舞伎」1994.3より

 

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