市川海老蔵さんに聞く!- 京都南座九月花形歌舞伎

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南座イヤホンガイドの特別放送“海老蔵さんQ&A”はもうお聞きになりましたか?
皆様からの質問にお答えいただいた本放送ですが、実は放送収録時、惜しくも採用されなかった質問もありました。
そのうちの4問に対して、今回特別に、イヤホンガイドHPのためにお答えをいただきました!

ここでしか読めないQ&Aを大公開いたします!
 
  景清はあまりなじみのある歴史人物ではありませんが、景清を演じる上でこだわった点はありますか。(ノッティーさん)

景清は歌舞伎であまり演じられていないし、先祖もあまりやっていない。景清には、かげ、つらさ、心の闇があるのではと感じています。
隈取は、一般的に赤が正義、青が悪となっていますが、今回の景清は赤と青の両方の隈取をしている、つまり人間らしい人間であることをあらわしています。
この作品では、人間らしい人間の死ぬ瞬間に見る走馬灯、というのを表現しようとしているので、景清は本当は正義になりたかった、だから牢破りの場では青い隈取を消して、赤い隈取で出てくるんです。
景清の夢物語、果たせなかった思いをどう表現して荒事につなげようか、というところにこだわりました。

 
  歌舞伎十八番といえば市川團十郎家ですが、今回の上演演目についてお父様の團十郎さんとの関わりや團十郎さんへの
思いはありますか。(むーさん)

『鎌髭』は父(12代目團十郎)と一緒にやりたいと思っていて、ずいぶん前から考えていました。
父にはこの4作品をつなげた物語を作っていいか、また、父にこの役をやってもらいたいのだ、という話をして、どうぞ、といわれただけで、実際に父は関わってはいません。
荒事を演じるにあたっては、私の中で父が身近で一番すばらしい人と思っているので、父らしく、おおらかに演じるということを少し意識しているところはあります。

 
  今まで演じられた中で、一番好きなお役は何ですか(せっちゃんさん)
役について、好きとかきらいとかは無いです。
映画などで何ヶ月も同じ役に取り組んでいれば、そういう気持ちになるかもしれませんが、歌舞伎は一日に何役も演じるので(笑)
また、役を演じるということは、その人物の人生を演じるということなので、やらせてもらって好ききらいをいうのは、おこがましいなと思うところもあるんです。
歴史上の人物なら、その人がその時代に生きていたというだけで、尊いことですから。
 
  歌舞伎を多くの人に知って欲しい、日本の伝統芸能を通じて日本から世界に何か発信したいと思うようになった具体的な
エピソードがあれば、聞いてみたいです(ピュアさん)

エピソードというわけではないですが、今の日本は文化があまり大切にされていないと感じています。
海外に行くと文化について色々言われ、考える機会がありますが、日本ではあまり表立って問題として出てこないですね。でも、文化が文化として根付いている国は強いじゃないですか。
そういった意味で、もし誰も文化を守ってくれないなら、今回津軽三味線の上妻さんが出演してくれますが、彼のように才能のある人にどんどん世に出て行ってもらいたいというのが自分の強い意志です。
日本人って素直だから、すごいものを見たらすごいなって思いますもんね。それで、日本の文化ってすごいと思ってもらえればよいのではと考えています。

 

【関連リンク】
9月南座イヤホンガイド放送について

南座9月公演について(歌舞伎美人)