『鴛鴦襖恋睦 おしどり』
(おしのふすまこいのむつごと)
くまどりん
青木房枝 2014年1月
安永四年(1777年)に江戸の中村座の顔見世狂言で上演された富本(清元の母体)の浄るりで、「四十八手恋の所訳」という題で「すもう」と「おしどり」と二場に分かれた大曲です。大正時代を境に殆どみられなくなった曲を昭和二十九年に六世中村歌右衛門が自主公演(莟会)で、すもうの場を長唄、おしどりの場を常磐津に作曲し直して復活上演致しました。
内容はすもうの起源とすもうの四十八手の技をさまざまな恋になぞらえた趣向で、「おしどりは雄が死ぬと雌は雄をしたって狂い死にする」という言い伝えをしんにして、それを曽我兄弟の物語にからませた物語です。人間の姿になったおしどり夫婦の愛の姿と鳥の狂いが幻想的で古風な味わいのする作品です。大変珍しい舞踊劇です。 
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