恋飛脚大和往来 新口村 (こいびきゃくやまとおうらい にのくちむら)
(松下かほる2014年1月)
「恋飛脚大和往来」の一場面。大阪の飛脚屋亀屋の養子忠兵衛は、遊女梅川の身請けの金の工面のことから、お屋敷に届ける金三百両に手を付けてしまう。公金横領だ。罪人として追われる身となった忠兵衛は梅川と共に生まれ故郷の大和新口村に向う。が、片田舎の新口村にまで忠兵衛のことは知れ渡っていた。この世での別れのつもりで実の父親孫右衛門との対面を果たした後の忠兵衛は、行く当てもなく追っ手を逃れて立ち去るほか術がない。そんな息子に孫右衛門は路銀を渡し逃してやるのだった。雪の新口村で、親の愛情、子の思い、嫁と舅の立場などが、父孫右衛門を中心に 心理的にも、視覚的にも美しく悲しく描かれている。歌舞伎の美意識を発揮した舞台が展開する。
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