『金閣寺』
(きんかくじ)
くまどりん
本名題:『祇園祭礼信仰記』(ぎおんさいれいしんこうき)

『祇園祭礼信仰記』の四段目、通称『金閣寺』。
江戸時代中頃の作品です。
天下転覆をくわだてる松永大膳(まつながだいぜん)、
たくらみを暴こうとする此下東吉(このしたとうきち=木下藤吉郎)。
大膳が横恋慕している雪姫、
時の将軍の母で、大膳に幽閉されている慶寿院(けいじゅいん)・・・
いった人物が、満開の桜に彩られた金閣寺を舞台に繰り広げる華やかな一幕。
井戸に投げ込まれた碁筒を手も濡らさずに拾い上げる、東吉の知恵者ぶり。
後ろ手に縛られた雪姫が、散り降る桜花を足先でかき集めて地面に描くネズミ・・・
そのネズミが、縄を食いちぎって姫を救う「爪先ネズミ」の奇跡。
三層の金閣寺の屋台が、セリで上下する大道具の豪華な演出・・・。
視覚的な面白さもいっぱいです。
東吉は、その姿、せりふまわしとも、胸のすくような爽やかさ。
雪姫は、『廿四孝(にじゅうしこう)』の八重垣姫(やえがきひめ)、『鎌倉三代記(かまくらさんだいき)』の時姫(ときひめ)とともに、いわゆる三姫(さんひめ)という大役のひとつです。
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