『卅三間堂棟由来』
(さんじゅうさんげんどうむなぎのゆらい)
くまどりん
伐り倒されそうになった柳の大木を救った横曽根平太郎(よこぞねへいたろう)は、柳の根元の茶店の娘、お柳(おりゅう)と夫婦になり、緑丸(みどりまる)という子をもうけました。
緑丸が五つのとき、白河法皇(しらかわほうおう)の病気平癒(びょうきへいゆ:病気がなおる)を祈るため、都に三十三間のお堂を建てることになります。
その棟木にすべく、くだんの柳が伐られることに・・・。
お柳は斧の響きに苦しみながら、最愛の家族に悲しい別れを告げます。
動物や植物が人間と結婚、子供までつくるというようなお話を「異類婚姻譚(いるいこんいんたん)」といいます。
歌舞伎では他に、キツネと人間が夫婦になる「葛の葉」が有名ですが、海外にも、ヘビが主人公の中国の京劇「白蛇伝(はくじゃでん)」などがあります。
いずれも、主人公が家族の絆(きずな)を断たなければならない運命がえがかれ、同時に人間にあらざるものの神秘性を見せます。
そのあたりを、じっくりご鑑賞ください。
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