『芝浜革財布』
(しばはまのかわざいふ)
くまどりん
三遊亭円朝の落語『芝浜』を原作に二世竹柴金作脚色で1922年に歌舞伎化初演されました。
落語の人情噺(にんじょうばなし)を脚色した年の瀬にぴったりのホームドラマ。
酒が大好きの魚屋・政五郎(まさごろう)、商売より酒が好き、酒、酒、酒・・・・
魚屋といっても、ぼてふり。
当時は、店をかまえている魚屋と、天秤棒に桶をさげて売り歩く魚屋(ぼてふり)がありました。
酒代の支払いで、日々の生活にも影響が出る・・・
女房はたまったもんじゃありません。
ある朝、いつもより早い時間に亭主をたたき起こして、「芝の魚市場へ行け!」
亭主は、芝へ行きますが、あんまり朝早すぎて市場はまだ始まってない。
芝の浜辺で夜明けを見ようとたたずんでいると・・・
波打ちぎわに、革財布!
中には大金!・・・思わず、ねこばば。
市場どころのさわぎじゃない、と家に飛んで帰って、女房にいきさつを話す・・・・で、酒を呑んで寝てしまう。
女房は大家さんに相談。
当時、大家といえば親も同然という時代。
正直に「財布を拾いました」と奉行所へ届けましたが、これを亭主にナイショにします。
起きた亭主は、仲間を呼んで呑めや唄えの大騒ぎ。
さてご馳走代を支払おうとすると、あの金がない。
女房いわく「財布を拾った夢を見たんでしょ!」
さぁ大変!亭主は酒のせいでこうなったことを反省します。
それからは、酒をぴったりやめ、真面目に働きます。
今、店をかまえるほどに出世できた政五郎。
と、「落とし主が現れませんでした」と奉行所からあの財布が戻ってきますが、さて・・・・・
前半で、一夜にして大金をつかんだ政五郎が、仲間とくりひろげるどんちゃん騒ぎ。
とり寄せる出前の品々や余興にとび出す「どどいつ」。
当世なら、「はじめは居酒屋、二次会はカラオケ!」が忘年会の定番ですが、そのお江戸版がこれ。
腹をかかえて笑って・・・そして・・・ほろり・・・
来年もいい年でありますように!
年の瀬の定番です!
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