三大敵討ち

伊賀越レベル 
★☆☆
くまどりん
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「三大敵討ち」と呼ばれる有名な敵討ちがあります。
その三つとは…
「赤穂浪士の敵討ち」「曽我兄弟の敵討ち」そして「伊賀越の敵討ち」です。
まずは超・有名、大人気の忠臣蔵、「赤穂浪士の敵討ち」。歌舞伎だけでなく、ドラマや映画でも度々取り上げられて、抜群の知名度と人気を誇ります。歌舞伎では『仮名手本忠臣蔵』が有名ですが、かの有名な怪談歌舞伎『東海道四谷怪談』も、実は忠臣蔵をベースにしたお話なのです。ご存じでしたか?
次に、歌舞伎の定番キャラクター、「曽我兄弟の敵討ち」。
江戸の人々は曽我兄弟が大好き。お正月の歌舞伎は曽我兄弟に関係する物語を上演すると決まっていましたし、『壽曽我対面』『助六』『矢の根』『外郎売』などはみんな曽我兄弟が登場します。定番なあまり、だんだん、タイトルに「曽我」と入っているだけで中身は全く曽我兄弟と関係ないものも出てきたり…

そして最後の一つが「伊賀越の敵討ち」。
荒木又右衛門と渡辺数馬が、数馬の弟の仇・河合又五郎を討った事件です。「荒木又右衛門の三十六人斬り」は読み物や講釈で有名になりました。(実際には36人も斬っていないようですが…)
残念ながら「伊賀越の敵討ち」は現在ではあまり有名ではありません…
が、実は歌舞伎の作られた時代には、赤穂浪士や曽我兄弟と肩を並べる大人気の敵討ちだったのです。
例えば、江戸時代後期には、有名な文物をお芝居や相撲の「番付」にならってランク付けすることが流行しましたが、そこでは「伊賀越の敵討ち」はいつもトップクラスに位置づけられていました。 幕末に発行された「忠孝仇討鏡」という番付では、「伊賀越の敵討ち」は東の大関。西の大関は「赤穂浪士の敵討ち」で、当時横綱はまだ名誉職扱いであり、番付に書かれなかったので、大関が実質トップでした。


この「伊賀越の敵討ち」をテーマにしたのが、現在国立劇場と国立文楽劇場で上演中の『伊賀越道中双六』。「沼津」の場面のみの上演が多いですが、今月は歌舞伎と文楽で通しでの上演を観ることができます。この機会にどうぞご覧ください。
 
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