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通称:『骨寄せの岩藤』(こつよせのいわふじ) この演目は、『加賀見山旧錦絵』(かがみやまこきょうのにしきえ)の続編のお話です。いわば『加賀見山パート2 岩藤の逆襲』 ⇒『加賀見山旧錦絵』へ 多賀家では、収まったはずの陰謀が再び動きはじめます。 主君・多賀大領(たがのたいりょう)は、側室・お柳の方(おりゅうのかた)にぞっこんですが、実はお柳の方は、陰謀の張本人・望月弾正(もちづきだんじょう)の愛人で、悪人カップルは自分たちの子を多賀家の跡目にすえようとたくらんでいるのです。 さらに、前編の陰謀に加担したため野ざらしにされた局・岩藤(いわふじ)の白骨は、寄り集まって、亡霊となり、多賀家へ復讐をはじめます。 プラス、今回は、庶民の人情や生活を見事にえがきながら展開するという見どころがあります。 お家騒動にまきこまれる忠義な小者(こもの:お屋敷勤めの下男)・鳥居又助(とりいまたすけ)の活躍と悲劇のくだりです。 お初(おはつ)が二代目尾上(おのえ)を継いで、ちょうど一年後のこと。 先代の尾上の一周忌をすませての帰り道、墓場を通りかかる。 すると、あ〜ら不思議、あちこちに散乱していた骨が、するすると、合体して、岩藤の姿になったかと思うと、いづくとも知れず飛び去る。 この骨寄せ(こつよせ)も、おどろおどろしくて、見事なしかけ! そして飛び去る・・・・ 歌舞伎舞台でも、本当に、宙乗り(ちゅうのり)という手法で飛んでいきます。 季節はちょうど桜の花の盛り時、「ハテ風情(ふぜい)ある ながめじゃなァ〜」と、岩藤は上空から満開の桜をめでて、気持よさそう! 一方、殿様はお妾(おめかけ)に夢中というありさま。 それをいさめた家臣・花房求女(はなぶさもとめ)は勘当。 実はお妾・お柳の方、悪臣・望月弾正(もちづきだんじょう)と組んで、お家乗っ取りをたくらんでいます。 求女は、仕えていた忠義者の小者・又助の世話をうけます。 正直で忠義な小者・又助は、主人の帰参を願って、お柳の方を暗殺しようとします。 望月に、「あの川べりをいく行列がお柳だよ」と教えられて、又助は襲いかかる。 暗殺成功! 川に飛び込み逃亡・・・この演目はなぜかオリンピックの年に上演されることが多いようです・・・そして川中での大立ち回りのシーン。 水布と組んずほぐれつ、時おり口から、ぷわーっと水を吹き出したり、クロールに背泳ぎ、はてはシンクロナイズド・スイミングのポーズ・・・ 市川猿之助が、大奮闘でやりまくって、やっとの思いで岸にあがった瞬間、三階席から声がかかりました、 『金メダル!』 しかし、暗殺されたのは、正室(せいしつ:本妻)だったのです。 又助には年頃の妹がいる、盲目の弟がいる・・・ しかも世話している主人に「正室暗殺の指示をしたのはおまえだろう!」と疑いがかかる・・・ 自責の念にかられる又助はついに・・・・ そして、よみがえった岩藤の亡霊は・・・ 多賀家にうずまく陰謀は・・・ 「百読は一見にしかず」! ぜひ、見に行きましょう! |
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