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『保名』は許婚に先立たれた若き陰陽師(おんみょうじ)・安倍保名(あべのやすな)の舞踊です。 陰陽師とは占い師と天文学者を合わせたようなもの。 平安時代のころは、政治向きの相談や権力者の専門医といった重要な役目でした。 ですから、ポスト争いも盛んで、彼もライバルとの争いから恋人を自害させてしまいます。 遺品の小袖を抱きしめたり、残り香を求めうつろな視線でかなたを見つめたり・・・・ 陰陽師といえば、当時の科学・医学のエリートです。 そんなエライ人でも大失恋するとこんなふうに気が触れてしまう・・・ 頭には紫色の布(はちまき)、手には笹を持つ姿。 紫色のはちまきをしている人は、病いに犯されているという歌舞伎の約束事。 また、笹も気が触れていることの象徴。 そんな姿で、恋人のまぼろしを追って、菜の花が咲き乱れる野辺をさまよう保名です。 参照:⇒『葛の葉子別れ』(くずのはこわかれ) |
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